(1)核酸供与体と宿主クラス(実験分類)
核酸供与体と宿主は、その病原性や伝達性に応じてクラス1からクラス4までに分類(実験分類)されています。個別生物の分類については、二種告示別表第2で定められています。詳しい生物種の検索はこちらを参照ください。
下記の表には代表的な微生物の一部と動植物に関してまとめました。
クラス1 | クラス2 | クラス3 | クラス4 | ||
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病原性(※) | なし | 低 | 高 | 高 | |
伝播性(※) | - | - | 低 | 高 | |
微生物 | 原核生物及び真菌 | 大腸菌(実験室株)、酵母 など |
病原性大腸菌 など |
結核菌、チフス菌 など | 規程なし |
ウイルス及びウイロイド | アデノ随伴ウィルス、バキュロウィルス など | アデノウィルス、SV40、レンチウィルス、化膿レンサ球菌 など |
HIV、SARS コロナウィルス など |
エボラウィルス など |
|
原虫 | 病原性がないもの | Babesi abovis,Eimeria acervulina,Nosema apis など | 規程なし | 規程なし | |
動物、植物 | 全て;ヒト、マウス など | - |
※病原性および伝達性……哺乳綱及び鳥綱に属する動物に対して病気を引き起こす性質と程度、および核酸が個体から他の個体へ伝達する性質と程度を科学的知見により推定されたものです。
(2)供与核酸の同定済
遺伝子の塩基配列の情報に基づいて、核酸又はその生成物の機能が科学的情報から推定されるものです。しかし、全ゲノム配列が決定された生物(マウス、ヒト、イネ等)に由来する核酸でも、機能が明らかになっていなければ、同定済み核酸に該当しません。
(3)宿主ベクター系
ベクターは組換え核酸のうち、移入された宿主内で当該組換え核酸の全部又は一部を複製させるものをいい、一般にプラスミド又はウイルス等の核酸が用いられています。 ベクターは宿主との組み合わせによる生存率や伝達性から、3種類(未認定・認定・特定認定宿主ベクター系)に分類されます。
認定宿主ベクター系(B1)
特殊な培養条件下以外での生存率が低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が低いベクターとの組み合わせ(二種告示別表第一の1.B1)です。
(例)Escherichia coli K12株、B株とpUC系ベクター
その他10種類の細菌類を宿主とするもの
特定認定宿主ベクター系(B2)
特殊な培養条件下以外での生存率が極めて低い宿主と当該宿主以外の生物への伝達性が極めて低いベクターとの組み合わせ(二種告示別表第一の2.B2)です。
(例)
(宿主) | (ベクター) |
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EK2;Escherichia coli K12株 (χ1776株) (DF50supF株) SC2;Saccharomyces cerevisiae ste-VC9変異株 BS2;Bacillus subtilis ASB298株 |
・pBR322 等 ・λgtWESλB 等 ・YIp1, YEp2 等 ・pUB110, pC194等 |
(4)機関承認実験と大臣確認実験
別表第一に執るべき拡散防止措置が定められていない場合(簡易的には「拡散防止措置対照表」に表記)は実験ごとに文科大臣の確認を受けた上で決められたレベルで実験を実施することとなります。
(例)
・宿主がクラス3あるいはクラス4の全ての場合
・宿主が動物(クラス1)であり、供与核酸(同定済)が哺乳動物等に対する病原性がある微生物等の感染を引き起こす受容体(病原性あり)を付与するもの
・すべての細胞融合実験
大臣確認実験に該当する可能性があれば、所属部局の安全主任者等に相談ください。 それ以外の実験申請は機関承認実験として大阪大学遺伝子組換え安全委員会で審査して、承認を受けた上で実施できます。